研究トピックス(育種部)


花粉の少ないスギ品種を開発!

花粉の少ないスギとは?

 人間にもいろいろな人がいるように,一口にスギといっても,スギの中にもいろいろなものがあります。花粉は,1個の雄花(米粒のような形をしています)の中に約40万個詰まっていますが,スギの雄花の着生量には大きな個体差があり,雄花をたくさん着けるものからほとんどつけないものまであります。林木育種センターでは,雄花の着生の有無や多少を調査することで,花粉の少ないスギ品種の開発を進めています。
スギの雄花    スギ花粉の写真
 

研究はどこまで進んでいるのか?  

花粉の少ない品種の開発
 
 花粉が少なくても,成長や材質が悪いスギは林業には向きません。そこで,成長や幹の通直性などの優れている精 英樹の中から,花粉の少ないものを探しています。
 これまでに、北海道育種基本区を除く、1都30県の精英樹(優良なスギ)について,林木育種センターと都県とが連携して,それぞれ1本ごとに,雄花の着き易さを調べて評価しました。その結果,平成15年2月までに別表のとおり,花粉の少ないスギ112品種を開発しています。
花粉の少ないスギ
(雄花が着生しないか,少ない)
 花粉症というとすぐにスギ花粉が連想されますが,最近,ヒノキの花粉も花粉症の原因になることが知られています。このため,ヒノキについても花粉の少ない品種を開発するため,調査を開始しています。
普通のスギ
(スギの花粉の当たり年には,多くの雄花を着ける)

スギ花粉のアレルゲン含有量の分析
 スギ花粉症の直接の原因物質は,花粉中のアレルゲンで,Cry j 1とCry j 2の2種類が見つかっています。精英樹の花粉に含まれているアレルゲンの量を調べ,花粉が少なくアレルゲン含有率も少ない品種の開発に取り組んでいます。Cry j 1含有率は,多いものと少ないものでは約80倍もの違いがあります。
関東育種基本区におけるスギ精英樹の花粉中のCry j 1含有量の変異

花粉の少ないスギ品種の利用は?

 花粉の少ないスギ品種は,精英樹(成長や幹の通直性等が優れているもの)の中から選抜しているので,花粉症対策はもちろん, 林業用としても優良なのもです。開発した品種については,林木育種センターでは,都県からの原種の配布要望に応じて,採種園や 採穂園の造成用に必要なさし木,つぎ木用の穂木又は苗木を配布しています。
          

花粉の少ないスギの一覧表

→PDF版ダウンロードはこちら